「十二国記 月の影 影の海」は、濃密な描写で骨太なストーリーで最後まで気が抜けないファンタジー小説

小説「十二国記」小野不由美

小野不由美さんのファンタジー小説「十二国記」シリーズの第一弾作品。

十二国記という作品があるということは知っていたけれど、読もうとは思ってもいなかった。
読まず嫌いの体で、いままで触れることはしなかった作品だった。

読もうと思った経緯

知人と話している中で、ファンタジーと少女が主人公の小説が好きだ、と伝えたら「十二国記」を紹介された。

メールで、3数行ほどの短い文面だったけれど、今までになくその3行が輝いて目に写っていた。

これは読まねばなるまいと、すぐに本屋で、最初の物語を購入した。

十二国記 月の影 影の海 上・下

「あなたは私の主(あるじ)、お迎えにまいりました」
学校にケイキと名のる男が突然、現われて、陽子を連れ去った。海に映る月の光をくぐりぬけ、辿(たど)りついたところは、地図にない国。
そして、ここで陽子を待ちうけていたのは、のどかな風景とは裏腹に、闇から躍りでる異形(いぎょう)の獣たちとの戦いだった。
「なぜ、あたしをここへ連れてきたの?」
陽子を異界へ喚(よ)んだのは誰なのか?帰るあてもない陽子の孤独な旅が、いま始まる!

Amazon内容紹介より

読み進めていても、読み終わったあとの印象はかわらず、とにかく主人公の陽子が常にピンチである

正直、読んでいてその世界を体感しているかのごとく疲れてしまうほどだ。

今で言うところの異世界ものなのだが、その異世界で大活躍するには地味な話がずっと続いていく。

突如、異世界に連れて行かれて、元の世界へ戻りたいと願う主人公に、次々と獣が襲いかかり、人が騙そうと近寄ってくる。

試練のごとくそれを乗り越えて成長していく主人公だが、その成長はつねに背後に死を漂わせているため、人が生きたいと思う本性がまざまざ描かれている。

異世界の世界観も、細かく作られていて、手にとるような描写で濃密である。

また、世界観に劣らない骨太な物語が、最後まで気になっていく。次に、どんな獣や人があらわれるのか、怖いもの見たさで、読むのをやめられない。

途中からは、ハラハラしつつも主人公を応援しながら読み進めていた自分がいた。

巻末の解説には、作品が世に出た1992年当初は、ライトノベルとして売り出されていたと書いてあった。

まさか、この内容でライトノベルとは思えないほど、ライトなものではない。
当時のライトノベルと今のライトノベルとでは比べるには、あまりにも内容が違っていると思える。

途中に挟まっている挿絵も、今のライトノベルのような萌えるものとは違う。
画風が異なっている。

しかし、今こうやって、濃密なファンタジー小説を読めたことは、とてもいい機会になった。読み応えのある作品に出会うことができたのだ。

続刊がある作品で、このファンタジー世界に浸りたい。続きも読んでいきたい。

また、今まで読んできた小説の数はあまり多くはないが、小説を書いてる身なので、とても参考になる作品となった。自分が表現したい文体に近いと思えたので、すごくいい勉強にもなった作品です。

 

小説「十二国記」小野不由美