映画「天気の子」は、雨を見る映画。映像美は、最高!物語は、何も残らず普通でした。
新海誠監督が手がけた映画「天気の子」を観てきました。
前作「君の名は」に続く、超大型アニメーション作品「天気の子」。
好きなアニメ監督なので、作品にはいろいろと期待して映画館に観に行きました!
物語
家出同然で島を出て、東京にやってきた高校生の少年。
雨が降り続く中、すぐに路頭に迷う。たまたま船の中で一緒だった男の元へ行き、ともに住み仕事をすることに。
そんな中、町で出会った事情を抱えた少女と少年は出会い、彼女の不思議な力を目の当たりにする。
その力を使って、二人は、多くの人々に笑顔を届けるのだったが、彼女いなくなり、少年は家出少年として大人に追い回されていく。
現代社会での少し不思議が混じる物語。
舞台
舞台は東京。
まるで、写真を見ているような新海作品の美麗な作画で、表現されます。
立ち並ぶ雑居ビルや、ビルとビルの狭い間、事細かに描かれた部屋。
何より、映画のタイトルにある天気に合わせて、様々な表情を見せる東京を堪能できます。
それが本当に絵なのかと思えるほど、その場の空気感も味わえます。
雨と作画
本作の作品の見どころといってもいい「雨」の表現に、一粒一粒手抜きがありません。
雨を絵で描くのに、こんなにも表現方法があるのかと思わされました。
新海作品には、雨のシーンも多くあり、雨が実際に続くと嫌ですが、これほど見続けたい雨もありません。
また、作画も描かれていて、よくキャラクターが動き、豊かな表情も多く見て取れた作品です。
それもそのはず。エンドクレジットには、動画のスタッフ数がとても多く、細かく描かれているアニメーションであることは間違いありません。
色彩も言わずもがな。
雨ひとつとっても、様々な色を見ることができ、目がとても楽んでいました。
地面に落ちて跳ねる雨粒。水たまりに落ちる雨粒。窓にぶつかる雨粒。街全体に振り落ちる雨。
様々な雨の表情を見ることができる作品です。
背景美術・空気感・レイアウト
正直言うと、作画や背景美術ばかり見ていました。
映像を1コマずつ止めて、観たいとも思いました。それだけ、絵作りの情報密度が濃かったです。
雨から晴れに変わるシーンでは、雲が流れて、日差しがビルに当たり流れていきます。実際にそんな場面を見ることもなかなかできないので、とても新鮮なシーンを見ることができました。
それは、背景美術、作画、演出とが一体化していて、あたかもカメラレンズを通して見ているようです。
絵にも関わらず、そこにある空気すらも感じられました。
絵作りに関しては、最初から最後まで、新海色を楽しめました。
音楽
前作「君の名は」に続き、RADWIMPSが担当。
予告やCMで、メインテーマがかかっていて、耳に残る音楽です。
場面場面にあった曲だったと思いますが、そこまで多く音楽が使われていたようには思いませんでした。
それは、自然の音、雨の音や風、電車、町の音を強調するために、あえて使用していないとも感じられました。
気持ちが高まったり、シーンのラッシュでは、RADWIMPSの劇中歌がとても印象的でした。
小ネタ
過去作を観た人にはわかることが、描かれていたりもします。新海作品にはある、過去作の登場人物が出てきたりしています。
主人公が船に乗っているシーンで、荷物の中にあった小説が「キャッチヤー・イン・ザ・ライ」村上春樹訳だったことも、主人公の気持ちを述べるアイテムだと感じました。
冷蔵庫の側面にあったマグネット。それが、新海監督のTwitterアイコンのものだったりと、隅々まで見ていくと、制作者のこだわりや遊びがみれると思います。
物語の感想
もちろん最後まで観ましたが、物語は、心に何も残りませんでした。
新海監督は、公開前に、賛否両論分かれる作品だと言っていたので、とても期待していました。
天気という環境問題、社会の鬱屈とした現代社会へのメッセージ、少年が少女を助ける普遍的な物語は、理解できましたが、新海監督らしい振り切り感を感じることができませんでした。
新海作品のシナリオの醍醐味が、きれいに中和されてしまっていたように感じました。
観終わった時、あとを引くような、いつの間にか何らかの重みが心に置かれている感覚は皆無でした。
キャスト・スタッフ
声と歌に魂を注ぐ声優と、世界を構築するスタッフ
キャスト
醍醐虎汰朗
森七菜
本田翼
吉柳咲良
平泉成
梶裕貴
倍賞千恵子
小栗旬
スタッフ
原作・脚本・監督:新海誠
音楽:RADWIMPS
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:田村篤
美術監督:滝口比呂志
製作:「天気の子」製作委員会
制作プロデュース:STORY inc.
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給:東宝
まとめ
映画「天気の子」は、物語は普通でしたが、映像美は最初から最後まで楽しめる作品です。
写真のような実写のようなアニメーションは、一度スクリーンで見てください!
ただ、新海監督の作品は、もっと小さな映画館で見て楽しみたいのが、私の本音です。