夜、見てはいけないアニメ「プリキュアアラモード」所思の一端
2017年2月からスタートしたテレビアニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」。
今作で、14作目となるプリキュアシリーズ。プリキュアシリーズを見始めたのは、9作目のスマイルプリキュアから。
プリキュアアラモードが始まってひと月ちょっと経ったので、最初の印象を書く。
私が、アニメーション作品・映像作品として、どんな視点で見ているかも踏まえて伝えたい。
お菓子が食べたくなるので、夜見ないほうがいい
放送時間は、日曜日朝8時半からだ。オンタイムで見ていれば気にならないかもしれないが、録画の消化を夜にすると、甘いものが食べたくなるかもしれないので注意!
というのも、今回のプリキュアは、伝説のパティシエ・プリキュアなのだ。
話の根幹は、お菓子作り。お菓子作りを通して、人との友情を描いてくストーリーになる。
おいしいお菓子には、キラキラルという輝きが宿っていて、そのキラキラルを敵が奪っていき、プリキュアが立ち上がって敵をやっつける。
随所にケーキやお菓子、それらに付随する材料や道具が出てくる。
これがまた、おいしそうに見えるから甘いものが食べてくなってしまう。
世界観は絵本のよう
前作「魔法使いプリキュア」の現代とファンタジーを組み合わせた世界観に比べると、もっと幻想色が強い印象である。
特に、背景。町の風景が、水彩風のテイストで描かれていることが目にとまった。
色の塗りが淡い部分もあり、塗ることを手抜きしているわけではないだろう。
思うに、出来上がるお菓子の描写のクオリティーが高いので、背景も細かく描いていると、見ている人の視線をお菓子に誘導できなからではないかと思う。
つまり、背景の情報量が多いと、あれもこれも無意識的に見てしまい、見せたいお菓子を注視できないのではないか。
絵本のようなその世界は、少女たちがお菓子の世界に入ったら、こんな感じではないかと見せているようでもある。
日常シーンのキャラ描写の線の数
アニメは、線で描かれていると言っても過言ではない。
特にプリキュアアラモードのキャラクターは、前作のキャラクターに比べて線の数が少ないような印象がする。
線が多い、少ないでクオリティーが高い低いという話ではなく、制作側の都合ではないかと推測。
描き込める時間を省くためではないか。
なぜ、そう思うか。
登場人物が多いからだ。
本作では、プリキュアは今のところ5人。前作では3人。
単純に、前作以上に2人も多く描かなければならない。
そのため、人物を表現する線数を減らしているのではないかと思った。
また、都市伝説かもしれないけど、放送一話分で使用できる動画枚数が決まっていると聞いたこともある。
どうも止まっているカットが、心なしか多い気がしないでもない。
ともあれ、限られた範囲のなかで、いかに魅力的なキャラを作り、効率よく描いていくか、絵を書くノウハウが詰め込められたキャラクターなのかもしれない。
変身シーン
変身シーンの演出が、とてもわかりやすい。
各作品、コンセプトに合わせたオブジェや光りの演出がなされるが、本作はお菓子なので、光の形や出現するものが何を意図しているかがよくわかる。
主人公のキュアホイップは、ショートケーキのホイップクリームとウサギが組み合わされている。
ベタな組み合わせではあるが、とても魅力的に絵がているので、新鮮味すら感じる。
声優の真っ直ぐな明るい声も合わさることで、潔いストレートな描写が気持ちいい。
エンディングダンス映像
忘れてはならないエンディングのダンス。
まるで人が踊っているようなアニメーション。実際には、人が踊ったデータをもとにCGを起こしている。
時には、フルCGの背景映像も見どころである。
プリキュアのエンディング映像は、新しい試みに挑戦しているようにも伺えるので、歴代のプリキュアエンディングだけでも見比べるのも一興だ。
最大の面白さは、一年間続くシナリオ
一回の話は、30分だが、それが一年間ほぼ毎週続くプリキュアシリーズ。
子供向け作品とはいえ、一年間も視聴者を持続して確保するには、オモシロサが必要だ。
それを知るべく見始めたのがきっかけだった。
人が成長する王道のストーリーがそこにはあった。しかも、毎週30分で、ひとつの成長をしている。
その成長は、何かを知る、物を得ることもある。それは必ず主人公のプラスになっている。
失敗をし、助けられ、助け合い、一年間を通して大きく成長する。シナリオとしては、とてもシンプルだが、毎回ブレることなくしっかりとした着地点にたどり着く。
ここがシナリオの上手さだといつも感じる。また30分しかないので、余計なことを削ぎ落とされていることも、視聴者の注意を逸らさせない効果だと思う。
年間を通しているので、その分をどこかで見せることはできるシナリオ構成。約50話分、上手く練られている。このシナリオは、プリキュアの成長と玩具販売が密接にリンクしている。このことは、また別の機会に。
そして、変化を恐れない主人公に、大人ながらカッコ良さの魅力を感じている。
自分もそんな主人公のような気持ちを持てたらいいなと、どこかで思っているのかもしれない。
最後に
幼児向けアニメ「プリキュア」ですが、少しアニメーション作品に寄った見方で、作品を見ています。
もし、これを読んでそんな見方もあるのかと思っていただけたら、そういった視点で見てもらうとまた違った感じ方ができるかもしれません。