一文物語の原点に愛を込めて、光をありがとう!
2018年も残すところあと数日。
2018年の終われと同時に、5年半、毎日更新してきた一文物語も終えることとなります。
こんなに続けられてきたのも、一文物語の見本となってくれた一文物語があったからです。
それは、飯田茂実さんの「一文物語集」です。
一文物語を始めてすぐに、この本と出会い、毎日のように読んで、刺激をもらっていました。
洗練された一文333編。想像力を解放してくれる。
「一文物語集」には、333の一文物語がおさめられています。そのどれもが、こことは少し違った世界の物語をのぞかせてくれます。
深海魚に会おうとした揚羽蝶が、海面にへばりついている。
一文物語集 15
名高い巫女の住む岩山へ、多くの男たちがはるばる危険を顧みずにやって来ては、消してしまいたい過去の記憶を口移しで吸い取ってもらっている。
一文物語集 27
造花として作られた蕾が、必死で開花しようとして開花できないまま、蜜を滴らせている。
一文物語集 267
いわゆる国語に沿って考えると、理解できない一文です。造花が蜜を垂らすわけがありません。
しかも、だから何、結論も何もないのです。
でも、私は、このあり得ない世界を想像するのが好きです。
背中を押してくれた一文物語集
正直に言えば、一文物語集を手にして、こういう風に表現していいんだと、救われました。
現実ではないことは受け入れられないと思っていましたから、生きるのも辛かったです。
一文物語に出会う前も、創作活動をしていましたが、「よくそういうことが思いつきますね」と言われもしました。皮肉を言われているようでした。
そんな中で、私にとって、一文物語は光です。
一行で表現できる幅は、実は広かった!
一文物語を5年半作ってきて、最後の最後まで、飯田さんの一文物語集を常に参考にしていたと思う。
その中で、たった一行でそこまで表現できるのかと、学びと気づきがあった。
たくさん書けばいいと思っていたが、そうではなかった。
言葉選び、単語選びが大事
同じことを言おうとも、言葉を変えると印象も変わることを知りました。
また、単語が持つ意味が、大きな力になる。読む人によって、その単語の捉え方が変わってきますが、強い印象を与えるとわかりました。
それによって、狭く短い時間の場面を表現することもあれば、宇宙のような広大で、時空を超越するような物語も作ることもできます。
普段、何気なく使っている言葉が、ここまで力があるとは当初考えてもいませんでした。
想像を膨らませ、読者の結末を裏切る順番
言葉や単語の並び、順番によって、想像させる内容を制御できることもわかりました。
これは、俳句や短歌にも近いものを感じます。
短い語数で、表現する場合、その順番によっては、全体の流れや印象を左右します。
最初にこんな流れになると思わせて、全く違った結末を用意する。
短編小説並みの文字数がなければ、できないことかと思っていましたが、たった数十字で、物語を語ることができます。
まとめ
たった一行で広がる想像の世界。
一文物語は一行へのこだわりですが、この一行を積み重ねていくことで、より深い想像の世界を見出せるとも思い始めています。
長ければ良いとも思いませんので、より短い表現で、想像を楽しめる物語を描いていけるのではないか。
一文物語を始めることになり、一文物語集という本に出会うことがなければ、ここまで作り続けることはなかったと思います。
そして、一文物語とともに、一文物語を作ってきたからこそできる物語を作って表現していきたい。
一文物語に、心からありがとうを!