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この本と出会えて良かった!
書いている小説で森が舞台となるシーンが出てきます。森、もしくは木を使ったアイデアが必要でした。
頭の片隅にそう思いながら、本屋さんで本作が目の前に現れて、表紙を見た瞬間にコレだと思った本なのです。
「樹木たちの知られざる生活」が書かれていて、一瞬で、知りたくなりました。
樹木たちの生き方は、とても静かで奥深く、しかし、大胆であると知って、最後まで面白く読むことができました。
目次を見てみると、
と、36もの章にまたがって樹木について書かれています。
小難しい科学的な専門用語は、とても少なく、あっても、丁寧に説明がされています。
章タイトルでも分かる通り、樹木の世界を人間社会に例えた語り口になっています。
そのため、樹木の生活がとても想像しやすかったです。
樹木は、1本1本孤立して、一人で生きていると思っていました。
しかし、土の下で根を広げ、弱った樹木には栄養を送っているというのです。
切り株が死なずにいるのは、必要な栄養素を周囲の樹木からもらっているからと言います。
樹木たちは、弱った木を助け、周囲のことを考えながら生きているのです。
それは、自分たちが生きやくするためなのだそうです。森で、木1本だけでは、天候の変化から自分を守ることができません。
バランスのとれた環境を作るために、木が手助けし合い、生態系を自分たちで作り出していました。
良い環境であれば、それぞれが長生きできるのです。
樹木たちは声を出さないが、互いに伝える手段を持っていました。
1つは香り。
ある樹木は、葉を食べに来た草食動物を追い払うために、警告ガスを放ちます。
風に流れて、それを感じ取った木々は、葉に有毒物質を溜めます。動物に食べられないことを伝えるためです。
そうして、草食動物を自分の木から遠ざけているというのです。
また、電気信号を使って、やりとりもしています。
土の中に張り巡らせた根が、周りの木と地中で接して、繋がっているのです。
てっきり樹木は、1本1本単体で生きていると思ったら違っているので、とても驚きました。
水は、山から地面を流れて海へ行き、雲ができて、雨が降って……繰り返されます。
しかし、雲は海からせいぜい数百キロで消えてしまうのです。当然、雨が降れば雲は消えてしまいます。
それでは、大陸の内陸部まで進むことはできないはずです。
森が、海から内陸部まで続いていることで、雲を発生させています。
降った雨を葉が受け止めて、乾けば蒸発します。木は地面から水分を吸い上げて、呼吸して放出します。やがてこれが雲となり、内陸へ続く森で繰り返し行われます。
一連の流れが、繰り返されることで、内陸部でも雨が降って、水が運ばれることを初めて知りました。
樹木の果たす役割がとても重要なのだと改めて気づきました。
ここまで紹介したことや、本書に書かれていたことは、全く知らないことばかりでした。
樹木の生活や生き方、奥深さが読んでいて、とても面白かったです。
これらのことを知って、森に行くことで、違った視点で樹木の世界を見ることができます。
正直、樹木はただ立って生きているだけかと思っていましたが、想像もしない奥深い生き方をしていて、勉強になり、最後まで楽しく読むことができました。
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