第24回文学フリマ東京戦利品2 / 河村塔王さん・紙男さん・The Photographers
2017年5月7日に開催された「文学フリマ東京」。プロ・アマ問わずの文学作品展示即売会です。
私自身も出店していましたが、好きな作家さんたちのブースはピンポイントでまわって、アイテムを入手してきました!
前エントリーの140字小説サークルに続き、文フリ戦利品ご紹介の第2弾。
河村塔王さんと紙男さんは、毎回イベントで気になる作家さん。今回も、刺激的な作品を発表されていました。
また、今回新たに知ったサークル「The Photographers」の小説と音楽が合わさったアイテムをご紹介します。
河村塔王さんの小瓶に入れられた物語とリレー小説
あなたのためのあなたの物語
小瓶の中に巻物風の書物と、3色のビーズ。
紙がくるくると巻いてある。それだけで、少しいつもと違う読み心地だった。
「あなたの物語」というだけあって、「あなたは」と、この書物から呼びかけられているよう。
不思議な書庫にいて、その中を進まさられるていくと、少し怖さを感じる。
読み終わって、この巻物のデザインやまた小瓶に入っている意味を考えると、物語の最後で起きたコトを入れておくためのものなのかもしれない、と思った。
あなたである以上は、それがあなたなのだと、言っているのか。
不思議とちょっと怖さを覚えた作品だった。
リレー小説「The Brain Battler’s Bible」
文章流麗にして意味不明★だけど話として成立してる
これがリレー小説の神髄!人気ゲーム「ブレインバトラー」の裏に潜む開発会社前社長の想念とは? 気鋭の同人小説家6名が2年の歳月をかけて編んだ近未来電脳バトル小説!
帯より
本作は、河村さんを含む6名の作家によるリレー小説。
先にプロットは組まず、大まかなジャンル設定のみで、書かれた内容を引き継いで、物語を紡いでいったとのこと。
読んでみると、たしかに文章は流麗で、話としては成立しているな、と思った。
面白かったのは、担当回1周目、2周目くらいは、橋を叩いて渡るような様子見で文章が並んでいる印象でした。
後半になるに連れて、それぞれの作家が自分の持ち味でかかれていて、どこを読んでも、飽きは来ず、なかなかおもしろかった。
6名も作家がいると、好きな文体や苦手な文体、リズムの合う合わないが見えてくる。これが、リレー小説の面白さか、とも思った。
プロットを組まずに話が書かれていたため、ところどころ設定や流れがわからないところもあった。
しかし、大きな破綻がなかったことは、流石書き慣れた方々であると感じた。
河村塔王 Webサイト
Twitter @TohKawamura
紙男
短編集 10ナンバーストーリーズ
0~9までの数字、それぞれ数字にちなんだタイトルがつけられている。そこから、発想を膨らませて作られた作品。
「No.2 ツーカー」「No.6 シックスセンス」「No.8 エイトデイズ」の3作品は、他の短編より短く、けれど数字の読み方と日本語的な言葉遊びとが物語と合わさっていて、面白かった。
紙面想歌
Twitter nobel集ということもあって、短い物語集。
ショートショート風な趣のある作品が多かった。どれも想像して楽しみた。
なかでも、「美容院にて」というタイトルの作品は、思わず声を上げてしまった。メデューサが髪を切りに来たお話だった。
Twitter @paperman104
The Photographers
Purple in a Landscape
文学フリマ当日のカタログにあった出店一覧を読んでいた時、ファンタジーカテゴリーに属したサークルで、紹介文に
全て千文字の物語を、手漉き紙に印刷して――
とあって、ここ最近、紙好きになった者として、見に行かねばと思って訊ねたサークル。
文フリでは珍しく、音楽と小説が一緒になった作品を制作されていた。
歌詞ではない文章と、BGMではない音楽。
これはノベルゲームでも、ドラマCDでもない、想像とデザインによる作品集です。
いただいた手漉き紙は「波間の散歩」という物語。
CDには、9曲あり、手漉き紙もそれに合わせて全種あるそうです。CDを購入すると、ネットでも全文全曲、見聞きできる。
文フリでも、音楽と抱き合わせるのも面白い。
小説に合わせたサウンドトラックのようだった。