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挫折した者を追い、挫折を機にどう過ごしているのかが見れたノンフィクション。
読んだきっかけは、友人との月一の課題読書企画。今月もほとんど触れてこなかったジャンルでした。
とは言っても、将棋の世界は好き。将棋のルールは知っていたし、漫画「3月のライオン」を読んでから、プロ将棋世界の深さや厳しさは知っていました。
それもあって、本書で取り上げているプロ将棋へ行く前の関門・奨励会を突破できなかった者たちの挫折とはどんなものなのか興味が湧きました。
その厳しさや実力、才能、努力というものを身近に感じられ、その挫折とどう向き合ったのか、私自身が学ことができた。
将棋が好きで、子供の頃から実力があって、プロへの道に入っていく奨励会は、強者ばかり。
そこで、初めて自分が特別じゃないことを知る。
将棋との勝負もあるが、自分との勝負である。自分と向き合い続けたものが、将棋で勝利をもぎ取っていく。
奨励会で勝ち上がれず、年齢制限というリミットがある中、自分と将棋に折り合いをつけることが、いかに難しいか。
今まで自分の世界だと思っていた将棋から離れることと、向き合えない者もいて、目を背けたくもなった場面もありました。
それは、自分を否定されたように思わざるを得ず、奨励会を去っても、またその自分と折り合いをつける日々が続く。
本書から、好きな世界で自分がどうあり続けるかを痛感させられた。
本書で印象的だったのは、棋士を目指す者が奨励会という場に立っている戦士であること。
そこに立てていることを許されていて、追い込まれて、逃げるのか。
立てていることを自覚して、無理だから逃げるのか、弱いから逃げるという理由で逃げるのか。
奨励会を去っていくものたちを見て、筆者が感じた言葉が、私自身の胸に突き刺さりました。
これは、逃げることが悪いと言っているわけではない。その場に立っている自覚と逃げる意思がはっきりしているかをもって欲しいと、伝えているような気がしました。
挫折を味わった時、それがのちにずっと尾を引き、自分を否定し続けて終わらないように思います。
逃げる意思をしっかり持とうと思えました。
挫折を経験すると、今までの自分を完全に否定したくなる。
奨励会を抜けていったも者たちの生き様はそれぞれだった。
賭け事にはまるもの、借金をするもの、司法試験を目指すもの、旅へ出るもの、アマチュア棋士で活躍するもの。
共通点は、過去の将棋に意識を向けないように行動していた。
しかし、ある時、奨励会を辞めるまで経験した様々なこと、将棋で学んだことがふとよみがえり、再起のきっかけを得ていた。
何年も触れていなかった将棋が、実は本人の心を優しく支えていたのだと気づく。
失敗や挫折は無駄ではないと言われるが、真のことだと実感する。
挫折のショックは大きいが、それ以上に心の奥底で優しくその人を支えているのだと学びました。
「将棋の子」は、将棋世界の厳しさと優しさを描き、挫折からの学びを解く本でした。
将棋の世界にいない私ですが、自分にも好きな世界があり、ふりかえればそこに立っています。
そこに立つ自覚をもち、そこでどう立ち振る舞っていくか、改めて考えさせられました。
そして、挫折は心から優しく支えてくれることを信じ、まっすぐ進みたいと勇気をもらいました。
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