河村塔王さんの個展「Talking-Head(s)」を見に行ってきた
河村さんとは、昨年の文学フリマ東京で知り合って、小説や本制作で刺激をいただいています。
河村さんは、文筆業・美術家で漫画原作など執筆し、一方で同人誌で実験小説を発表したり、言葉・本を使ったブック・アート制作もされています。
河村塔王さん Webサイト
Twitter @TohKawamura
2017年4月12日~23日まで、10年ぶりの個展を開かれるというので、初日に伺わせていただいた。
初日は、河村さんが在廊されるということもあって、ぜひ、お話も聞きたいと思って行ってきました。
河村塔王個展 Talking-Head(s)
〜語り得ぬものについては、沈黙しなければならない〜
お知らせ用にいただいていたDM。とても意味深すぎる。
サブタイトルに沈黙とあるので、話してはならない、もしくはしゃべるなということなのだろう。
しかし、これが言葉や本を使ったブックアートで、どんな展示がされているのか、想像が膨らむ。
まさか、沈黙ということで、真っ白な何も印字されていない本がある、とか思ったりもした。
そんなことを考えながら、会場へと向かった。
MOTOYA Book・Cafe・Gallery
場所は、京王線の初台駅から少し歩いた住宅街の中の中、一般住宅に並んだところにある、MOTOYA Book・Cafe・Gallery。
以前、「Book Lovers」というイベントが開催されたブックカフェ・ギャラリー。
結界の張られた空間がお出迎え
カフェ前には、看板が立っている。
やっぱり、意味深!
白い看板に白黒写真。そして、口元を塞ぐ赤いテープが、少し不気味さも……。
看板のすぐ右には、駐車場であったであろう空間に、目の惹く赤と黒のテープが張られている。その中央には、何かが吊る下がっている。
(その何かは、ページの最後に写真を載せました↓見る)
カフェオーナーと河村さんは、「結界」と呼んでいました。
外が暗くなると、ライトアップされるそう。その時間に立ち会うことはできなかったのですが、その光景を見てみたい!
沈黙の行方
カフェの中へ。
全員、口を赤いテープで塞がれた人物写真が飾れていた。
言葉や本を使ったブック・アートがあるのかと思ったが、まさかのインスタレーション作品だった。
ブーク・アートではなく、単独のアートということか!
棚の上を見ても、河村さんの本は置いていない。棚の中の本は、カフェの本。
展示物は、写真で、その他具体的に何かを説明するものは、各写真の下にあるステートメントらしき紙のみ。
しかし、それには人物名と国籍の国旗、QRコードがあるだけで、他に説明はなかった。
QRコードを読み取ると、その人物のウィキペディアにリンクする。
そちらを見て、その人物の沈黙を探れと……。
言葉とは
十数人の人物写真。顔を見てわかったのは、二人。その他は、名前を見て知っている人もいたが、大半は知らない方々。
どの人も、言葉や本にゆかりのある方々だ。どんな人物の写真があるかは実際に、展示を見て欲しい。
河村さんが在廊していれば、色々お話を聞くことができます。
(在廊日は、最新情報をご確認ください)
ずらりと並べられていた沈黙する人物たちを見て思ったのは、今の世にも通ずるかのように、何も考えずにしゃべるなと言っているかのよう。
そう考えると、写真の人物たちの歴史に通じるような気がした。
日本のことわざに、「口は災いの元」という言葉が当てはまるかもしれない。
その一方で、「言霊」なんて言葉もあり、言葉には、人や世界すらも動かしてしまう力もある。
そうでなければ、彼らは本を残さなかっただろうし、メールやメッセージアプリなんてものも作り出されなかったかもしれない。
写真の人物たちが生きていた時代、物も自由に言えない時代もあった。
それは、言葉に何らかの力があるから、それを恐れ、口を塞がれたのだろうと思う。
少し、この日本社会にもある気がする。炎上とか……。
でも誰彼もそれぞれに言葉を持ち、自由に使っていいはずなのだ。
「何も考えずにしゃべるな。その言葉には力があるぞ」
良い意味でも、悪い意味でも……。
「Talking-Head(s)」 口を塞がれた人物たちが発する沈黙の言葉は、そんな風に言っているように思えた。
どうせなら、良い方向に使いたい!
Information
写真を撮らせていただきありがとうございました!
河村塔王 個展 Talking-Head(s)
2017 / 4 / 12 (Wed.) ~ 4 / 23 (Sun.) ※月曜・火曜 休廊
13:00~20:00
※入場は30分前まで
※Cafeでの展示になりますので、ドリンクのオーダーをお願いします。
MOTOYA Book・Cafe・Gallery
https://www.mo-to-ya.com
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