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こんな視点でアニメなんて見てられない。
こんな視点でアニメなんて見てられない。
本書がシリーズ2巻目であり、1巻目でも同じように思ったからです。
その教養の切り口、深さと言ったら、1巻目の比にならないくらい重かったです。
あとがきにもありましたが、本書の反逆編は、大学講義二年生向けであり、ネット界隈で噂になったあの話題の講義が、本書でした。
大学の講義の履修にあたり、「深夜枠を中心に週に二〇本以上『アニメ』を視聴しておくこと」。
その講義内容が、この反逆編にあたる内容です。
アニメ好きと言っている私ですが、やはり週に20本のアニメを見ることはしていません。
本書に出てくる作品の半分は、見ておらず、正直ついていけませんでした。
暗に、まず見てから読めと言われているようにも感じました。
本書を読んで感じたことを、この記事には書いています。
本作の特徴として、中心に人と人の関係性が据えられています。
そこに取り巻く未来や現代に渦巻く社会的要素が絡んで、作品世界を介して、教養視点での説明がなされています。
よって、声優がどうの、制作スタジオが、監督、作監、キャラデザ、シナリオ展開云々、という話は、ゼロでないにしろ、そういう視点で語られてはいません。
第1章『STAR DRIVER 輝きのタクト』未来拡張とネオセカイ系
第2章『輪るピングドラム』擬似家族と運命の乗り越え
第3章『ユリ熊嵐!』透明な嵐と断絶の壁
第4章『ラブライブ!』グループアイドルと自分探し
第5章『デュラララ!!』群像劇とアウトロー
第6章『TIGER & BUNNY』メディア・イベントと都市の地政学
第7章『PSYCHO-PASS サイコパス』シビュラシステムとバイオ権力
キャラクター同士の繋がり、相関図的な結びつきは、1本調子でない作品が本書では多いです。
それぞれに目的や葛藤があり、それを見て楽しめる作品ではあるのですが、単に人間の関係性があるだけではない印象を抱きました。
特に『STAR DRIVER』の章を読んでそう思いました。
『STAR DRIVER』いわゆるロボットアニメ。
しかし、そこに出てくるのは、巫女の世界であったり、精神との繋がりが世界観としての見所かもしれません。
人は、友情や信頼と言った見えない繋がりを求めているようで、別の精神的一体感が欲しいのではと感じました。
今や簡単に誰かと繋がれる時代です。
如実に、アニメでもそれは描かれ、『デュラララ』シリーズでは顕著です。
その中で、首なしライダーが登場し、テレビやネットでも騒ぎになる状況が描かれています。
それは、映画のような作り物なのか、亡霊をたまたま見てしまっているのか、現実なのか、群像劇よろしく、様々な視点で解釈、物語の展開がなされています。
首なしライダーを真実と捉えるか、嘘と捉えるか、本当にいると信じたい、嘘と信じたい、ライダーを見た側、見ていない側と、人は様々にカテゴライズされていきます。
また、本書では作中に登場するカラーギャングなどのグループ抗争についても書かれていて、所属や立ち位置についても読んでいて、興味深かったです。
繋がれるからこそ、余計に自分の立ち位置が明確化する、されていくのがわかります。
なんだか、繋がらなければならない恐怖感のある現代を描いているようも感じられました。
本書を通して、特に日本のアニメは、現代を写す鏡のようだと思いました。
ヒーローのいる世界や、システムに管理された未来を描いた作品もあります。
それは、架空の世界でもあり、これから先の何が起こるかもわからない時代のこと。
返してみると、現在の社会に足りないものや忘れてしまっているものを警告をしているようにも捉えられました。
伝統や現代社会を空気を描くだけでなく、学術的であったり、哲学的セリフで考えさせることもあります。
単に、キャラクター推しや声優ファン、クールジャパンといったメディア的に楽しむだけではありません。
本書のような教養という切り口からしか見えてこないアニメを通して、学び、考えさせてくれました。
本書は、アニメが好き、アニメを見る、だけでなく教養として学ぶための、またアニメを見るための別の刺激をくれる一冊です。
3巻目も出る?ようなので、楽しみにしています。
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