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森博嗣さんの「集中力はいらない」を読みました。
えっ、集中力っていらないの? どういうこと?
小説「すべてがFになる」の著者、研究者で小説家の森博嗣さんは、集中力は大事だけど、さらに分散思考であることが重要だと言う。
つまり、マルチタスクのすすめ。
アレコレやることで、思考や視野が広がって豊かになる。
作家ならではの、一般的な考え方とはちがう視点がとてもためになった「集中力はいらない」を紹介します。
これまで、社会が人間に「集中しなさい」と要求したのは、結局は、機械のように働きなさいという意味だったのだから、そろそろその要求自体が意味を失っている時代に差し掛かっているということである。
「集中する」ことの意味を考えさせられます。
「集中」してものごとに取り組むことは大事です。
しかし、「機会のように働く」という強制的に動かさせられているとしたら、「集中する」とはいったいなんなのか。
時代とあわない意味になっているとしたら、「集中」を自分のために使っていきたいとも思える。
本書では、分散思考であること、マルチタスクでものごとに取り組むことがすすめられている。
思考や行動の対象が複数になれば、個人の中でそれらをシェアし、複数のことを同時にすすめられるようになるという。
分散思考にすることで、ひとつのことが終わった、止まったりしたら、別のものごとに移れる。
ずっと動いている必要はなく、もし休息が必要であれば、休息する。休息自体も分散思考の1つでもある。
アクシデントが起きても、時間に対して分散思考を持っていれば、時間の融通がきく。
ただ、これは著者のように作業を自分1人で完結できるからとも書いてある。
1人で、なにかを作ったりする場合には、とても有効だと思えました。
分散思考をしているうちに発想したものが、まるで違う分野、遠い場所からヒントを見つけた結果であり、思わぬ得をした経験が重なるためである。
1つのことに集中してしまうと、点と点をつながらない。
マルチタスク、複数のものごとを行っていると、まったく違う領域の視点から発想やアイデアを得ることができる。
1つのことに集中せず、分散思考でいることで、集中している中では得られないものにたどり着ける。
この感覚は、私自身も少なからず経験があります。
複数のものごとを進めていると、目の前のこととは違うアイデアにつながったりもします。
それが分散思考なのかと、腑に落ちた内容でもありました。
「集中」には、ある程度の緊張が良い。
気合いが入っている方が、計算も速くなる。
基本的に力がこもっているからできるものが「集中」というようだ。
こういう状態で、思考は柔軟にはならないし、アイデアも浮かんでこない。
リラックスしたときにこそ、思考が勝手に働く。
ふとしたときに、アイデアが浮かんだり、良い解決方法を思いついたことはないだろうか。
自信を持たないことである。自分は馬鹿だと思い込む。自分の頭では無理だ、と考える。
自分を低く見るとよいそうだ。
そうすることで、問題に対して謙虚になり、どうせ解けないのだからダメ元で、とだらだらと考えることができるという。
自分には絶対に問題を解決できる、と思うから緊張して力が入ってしまう。
もうそれは集中である。
体も頭もリラックスさせることで、よい思考を生む。
それには、だらだらすること。集中しない。
とても勇気をもらえる考え方でした。
人生も集中の支配から逃れ、達成だけが目標ではない生き方になれば、思考も豊かになる。
森博嗣さんの「集中力はいらない」は、分散思考でものごとをすすめることで、思考や視野が広がり、豊かになる提唱でした。
思考だけでなく、ものごとを行う時間の分散が余裕を生み、制作物の完成度を高めるといいます。
なにごとにも「集中しなければ」と思ってしまって、集中できない自分を責めていました。
でも、集中しないことにメリットがあるのだと、集中思考を切りかえるきっかけになった本でした。
マルチタスクで「集中力がない」と困っている人にもオススメです。
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