2019年5月6日に開催された文学フリマ東京。
そこで入手したアイテムをご紹介。
紙野七さんの作品を手に取るのは初めてです。ブース前を通りかかった時、散文詩・小説のような、というような文言が目にとまりました。
詩でもあるような、小説でもあるような、その間にある作品がとても魅力的に思えました。
作品の雰囲気は、決して明るくはないけれど、透明感のある文章に引き込まれました。
目次
構成
- 埋没
- 記録者
- クチナシの花
- 読書
- 白鍵
- 夢、現。
- 雨宿り
- 君は折り鶴を折っていた
- あとがき
表題作「君は折り鶴を折っていた」を含む8編。
詩のような小説のような

「埋没」から「雨宿り」までの7編は、1ページから2ページの短い詩のような小説のような作品。
小さな物語を感じさせつつ、詩の調べもあり、読み出すとリズムに乗って最後まで読んでしまいます。
物語はありつつも、曖昧で明瞭端的ではないのですが、詩として考えにふける余白を持っています。
生きる・死ぬのテーマ
作品全体に感じられるは、生きることや死に対するイメージでした。
夢に向かって生きる、幻想にひたる、現実を直視、はたまた現代の生きづらさが吐露されている作品が多いように感じました。
決して明るいとは言えませんが、言葉選びや詩の調べが丁寧で、暗さを匂わせるのが嫌ではありません。
暗いとは言っても、透明感すら感じられるほど、新鮮な文章に感じられました。
君は折り鶴を折っていた
表紙の絵から、インスピレーションを得て、書かれた作品とのこと。
小説形式ですが、詩の要素もあって、読んだことのない文体でした。
他の作品に比べて、長さがあり、物語としても楽しめるものでした。
やはり、テーマは生き死にに対する思いを吐露していくもの。
誰もが一度や二度考えたことのある生きることについて、作品を読みながら、考えさせられました。
まとめ
詩と物語が合わさったような作品です。言葉一つ一つとその繋がりは、詩のように読めて面白かった。
ぜひ、また新しい作品も読んでみたいと思いました。
Twitter:@kaminonana
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