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小説「鞄の中身」著:吉行淳之介を読んで、男女の気持ちの思惑や、悩ませられる締めくくりが、決してイヤじゃない!
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短編小説集「鞄の中身」を読みました。
大人の女と男の恋愛関係が如実に描かれた19作品。
恋愛といっても、キュンキュンするようなものではありません。
大人のしとやかで、冷酷さもふくむ複雑な気持ちがおりまざった内容が多かったです。
切り口は、どれも日常でなさそうでもあり、経験しそうな気持ちの揺れが読みとれます。
どの作品も強烈なオチがあるわけではありません。
「これはナニを言っているのか」と、よくわからない締めくくりの作品も多かったです。
締めくくりもなく、そこで文章がただ終わって、物語自体は、勝手につづいていくようにすら思える作品もありました。
だからといって、作品の印象が薄いわけではありません。
短編という短時間の人間模様が、しっかり頭に焼きついてもいます。
人の風貌から、住んでいる家や風景がはっきりと見ているかのように、読めてしまう。
表層から見ることのできない人の内面をダイレクトに読みとらされているようにも感じました。
印象に残る、よくわからないけど考えてしまう深みのある作品ばかりでした。
- 風呂焚く男
- 錆びた海
- 埋葬
- 曲がった背中
- 紺色の実
私にとって、上記の5作は読み終えて、特に引きこまれたり、悩まされた短編でした。
単純に「おもしろい」という作品よりは、考えることがおもしろい作品集のように思えました。
男女の気持ちの思惑や考えさせ、悩ませられる締めくくりが、決してイヤじゃない。
それらもひっくるめて、楽しめた短編小説集でした。
著者の小説家吉行淳之介さんの作品に初めて触れるなら、本書「鞄の中身」がオススメです。
作品の雰囲気や作家の視点もわかり、吉行淳之介さんのほかの作品も読んでみたくなりました。
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