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「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」著:ロバート・ビスワス=ディーナー、トッド カシュダン という本を読みました。
ネガティブな感情をもつことは、良くないことだと思っていました。
しかし、そのネガティブな感情をしっかり理解することで、プラスに働かせることができるのだと本書を読んで知りました。
ポジティブとネガティブ、どちらも自分のひとつの感情であって、どちらが良い悪いはありません。
本書では、ポジティブでありつづけることが幸福とは限らないと言い、ネガティブの利点について学ぶことができます。
ネガティブな自分と向き合いたい、ネガティブな感情をプラスに働かせたい方にオススメです。
私がとてもためになった部分をご紹介します。
現在の幸福ブームは行きすぎていると、警告している。
ポジティブな感情には落とし穴があり、害があるという点は見過ごされている。
決して、ポジティブな面をすべて否定されているわけではありません。
ポジティブもネガティブも含めた広範囲の心理状態を受け入れる能力を身につけて、人生の出来事に効果的に対応することの方が大事
と、本書では強調されています。
その上で、ネガティブな感情にどんな利点があるのか見ていきます。
どのネガティブ感情も、「何かがうまく行っていない。すぐ対応する必要がある」と知らせてくれるシグナルである。
ネガティブ感情は、気分のいいものではありません。
だからといって、いつもポジティブなことを探して、ネガティブ感情を消したり、押し殺したり、隠したりしていては、人生という試合に勝利することは難しいという。
ネガティブ感情を無理に取り除こうとすると、意に反して、幸福感、生きる意味、気概、好奇心、成熟、叡智、人間的成長なども一緒に損なわれてもしまう。
さらにネガティブな事柄に無感覚になれば、ポジティブな事柄に対しても無感覚になる。
では、そもそもなぜ、ネガティブを避けようとするのか。
ネガティブな出来事、経験、人間関係、心理状態は、ポジティブなものに比べ、人の感性により強い影響を及ぼすという。
しかし、これらネガティブなことは、進化の過程で人類に備わった特質とされている。
感情は経験の「追跡システム」のようなもので、現在の状況は安全かそれとも避けるべきかということを、私たちは過去の感情の記憶をもとに素早く判断できるようになっています。
怒りの感情というのは、それ自体いいとか悪いとかいうものではない。
怒りによってどんな行動を取るかの方が重要であるといいます。
怒りを表現すると、交渉を成功させやすく、人々を動かして状況に変化を起こすことができるとされています。
不安は、個人だけでなく、家庭、恋愛関係、組織の成功をも促進するという。
不安が強い人の「危険を敏感に感じ取る特性」を、治すべきものとしてではなく、「心理的な強み」としてとらえるとよい。
ネガティブな感情は、周囲の状況に触発されて表面に出てくることが多い。
つまり理由もなく現れるものではないのです。
周りの人が引いてしまうなどのマイナス面を伴うとしても、ネガティブ感情は、時に非常に役立つことがあるのです。
どれもきわどく、危険な特質と分類されがちな要素。
これらの要素は、緊迫した状況で冷静さを保ったり、人々を魅了したり、夢を追求する自分の能力を信じたりすることに、力を発揮してくれる。
もちろん、状況が適切な場合に限ります。
これらの要素が多すぎれば、とうぜん人を傷つけてしまう。
逆に足りなければ、リスクを取ることができなくなったり、力が発揮できなくなったりします。
これらは、自分の精神のレパートリーに存在しているという。
これらは誰もが自由に使えるものでもある。
しかし、多くの人がそれを使おうとしない理由は、充実と成功を手に入れるためにするべきことをするより、 その瞬間に居心地がいいことの方を大事にするからだとも指摘されている。
マインドフルネスとは逆のマインドレス。
意識的な気づき、集中とは逆の無意識を活用することに利点があるという。
心が柔軟な人たち、つまりもっとも成功している人たちは、マインドフルとマインドレスのどちらかに凝り固まることなく、双方を行ったり来たりできる。
これを意図的に行うことによって、これまで手に入らなかった20パーセントのネガティブ優位性を得ることができるといいます。
特に創造性は、意外なマインドレスの行動の中から生まれてくることが多い。
ぼーっとしているときに、ふとアイデアが降りてくるとよく聞きます。
意識的な決断だけでなく、無意識や直感にゆだねることも幸福へとつながるというのです。
ネガティブな感情は、悪だと思っていましたが、自分のひとつの感情なのだと強く理解できました。
ネガティブな気持ちが出てきたら追いはらうのではなく、自分の一部として受けとめ、どう対応するか、本書で学ぶことができました。
ポジティブで絶対いなければならない、そうずっとありつづけるのも難しい。
良くないと思われていたネガティブに目を向けることで、ひとつ冷静にものごとを見る新しい視点を獲得できました。
文量のある本でしたが、具体的な事例もあって、とても理解しやすい本でした。
ネガティブな自分と向き合いたい、ネガティブな感情をプラスに働かせたい方にオススメです。
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