小説を書く時に大事なことは、物語の展開や登場人物の設定、場面の描写……と項目をあげればキリがない。
それらの中でも、私が大事にしていることは、キャラクターの感情である。
感情を持たない登場人物はいない。いたとしても、SF的で、特殊な設定の場合だろう。しかも登場人物全員ということはありえない。
必ず、人が登場する。人は、どうであれ、感情をもつ。
小説を書く時、物語を書く時、登場人物の感情をいかに表現し、読者に伝えられるのか意識している。
単に嬉しさを表現する際、ただ嬉しいと書くのは簡単である。キャラクターに合った表現や行動の中で、嬉しさというものを描くことはできないだろうか。
その際、とても役に立つ感情類義語辞典を紹介します。
目次
75個の感情一覧
代表的な感情がピックアップされている。
愛情、圧倒に始まり、自責、自尊心、そして立腹、冷笑という感情が分類されている。
時々、これもあったらいいのにと思うことはあるけれど、多くはこの中から近いものを選び、表現の参考にしている。
心理描写の類語
「愛情」に関する類語のページ
本書は、1つの項目につき、見開き1ページで構成されている。
「愛情」ひとつとっても、ただ「愛」を思うだけではない。また、愛に関する言葉が並んでいるわけでもない。
外的、内的、といった人の内側から出てくる行動や精神的影響に分けて書かれている。
本書の左ページ、外的シグナルの項目から書かれている。
さらに、内的な感覚、精神的な反応、強度のあるいは長期の感情を表すサイン、隠れた感情を表すサインという項目がある。
外的シグナル
感情に由来する反応が、身体や発言を通じて明確に表面化したもの。第三者も感じることできる。
例:互いに寄り添う。緊張した振る舞い(両手をあそぶ、唇を湿らす)。
多くは、キャラクターの行動を表している。場面によって使い分けたり、使用したい言葉を探したり、アイデアやヒントにもなる。
外的とは逆に、内的感覚というものがある。
内的な感覚
感情に由来して人間の体の内側におこる、本能的、もしくは生理的な感覚。
例:鼓動が速くなる。心臓がドキドキする。
といったことが書かれている。
精神的な反応
感情に由来する人間の思考パターン。
例:相手といると時間の感覚がなくなる。
強度のあるいは長期の感情を表すサイン
その感情が非常に激しい場合、あるいは長きにわたって続いた場合に見られる、外的、内的、精神的な反応を示す。
例:相手のニーズや欲求を優先する。
隠れた感情を表すサイン
キャラクターがその感情を周囲に隠そうとしている場合や、無自覚である場合に見られる、外的、内的、精神的な反応を示す。
例:近くに立つが、触れることはしない。
まとめ
語彙の引き出しの少ない私にとっては、とても参考になる辞典となっています。
動作や行動、一連の流れを、感情を持ってキャラクターを動かすことで、キャラクターの魅力も引き出せると感じました。
また、言葉の持つ心理的意味も考えられるようになり、こんな言葉を使った場合、どのような印象を受けるのかということも考えられるようになりました。
この辞典は、シーンやキャラクターの性格によっても使い分ける必要だが、これらの感情による影響を踏まえて使うことによって、より魅力的な登場人物を描くことができます。
感情の項目数が増えた「増補改訂版」
著:アンジェラ・アッカーマン, 著:ベッカ・パグリッシ, 翻訳:滝本杏奈, 翻訳:新田享子
¥1,980 (2024/11/24 17:17時点 | Amazon調べ)
ポチップ
この他のシリーズに、「性格類語辞典ポジティブ編・ネガティブ編」や「場面設定類語辞典」もある。
フィルムアート社
¥1,430 (2024/11/25 17:50時点 | Amazon調べ)
ポチップ
フィルムアート社
¥1,430 (2024/11/06 15:07時点 | Amazon調べ)
ポチップ
著:アンジェラ・アッカーマン, 著:ベッカ・パグリッシ, 翻訳:滝本杏奈
¥2,750 (2024/11/25 17:50時点 | Amazon調べ)
ポチップ