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ホラー小説として想像する怖さとは、違った恐ろしさを感じた小説でした。
物語はとても面白く、いっきに読み終えるほど、楽しく読めました。
読んだきっかけは、友人との課題読書企画で、本作を読んだ。ほとんど触れてこなかったジャンルです。
怪奇なものに対する説明が、史実を元に構成されていたり、現代をベースにしていても、違和感なく作品世界に引き込まれました。
想像していたホラー小説とは少し違いました。
私の思うホラーというと、怪奇なことが突然起きたり、得体のしれないもの、お化けや幽霊が現れて襲ってくるもの。
本作も、得体のしれないものや怪奇なことは起こるのですが、そこにホラー感をまったく感じませんでした。
全然違った角度で、登場人物の、いわゆる「人」の考え方に恐怖を感じました。
「ぼぎわんが、来る」は、その出し方がとても上手く、そこに面白さもありました。
3章で構成されていて、章ごとに、別々の一人の登場人物の視点で物語が進んでいきます。
1章では語られていなかった登場人物の気持ちが、2章でわかり、1章の印象がガラッと変わりました。
終始「ぼぎわん」がなんなのか、得体のしれないものに怖さも感じますが、語られない人の考え方も怖いのだと、作品を通して、思い知らされました。
ましてや、現代的な夫婦の関係であった1章と2章の視点が、ホラーさを描いていました。
得体のしれない「ぼぎわん」が、この世に存在させるストーリー展開も面白い。
作中では、江戸時代からの言い伝えや、地方の書物などが紹介される。
架空の設定としているのだろうが、史実になぞらえられていて、あたかも本当にあるかのようにとらえられる。
特に、地方の書物なんかは、ちゃんと調べたら本当に存在しそうで、私の中に好奇心も生まれ、調べてみたいと思わせる。
「ぼぎわん」を調べつつも、「ぼぎわん」から近づいてきたり、終始ワクワクとハラハラが続いていて、最後までいっきに読んでしまいました。
怪奇なものや現象の怖さより、人の怖さにホラーさを感じた面白い小説でした。
現代、得体のしれないものに対するアプローチや説得力もあり、ホラーというよりは現代をベースにしたファンタジー小説を読んでいる感じでした。
ホラーとして、ファンタジーとしても、物語の流れや登場人物の気持ちの葛藤がしっかり読み取れる面白い小説でした。
シリーズ作品として、続編もあるので、続きを読んでみたくなった作品でした。
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