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「さあ、気ちがいになりなさい」というタイトルに惹かれ、星新一さんによる訳ということもあって、読んだ短編小説集。
本の帯紹介に、極上の奇想とあったので、どんな世界が描かれていのか期待度は高まります。
しかし、読んでみると、現実世界がベースで、中にはSFとして宇宙旅行や宇宙人侵略があったり、異能力なお話もありましたが、モチーフ自体は、言うほど奇想ではありませんでした。
むしろ、ありふれた日常世界で、異種の設定をあたかも普通にあるかのように思わせる作りが奇想だと思えました。
異種設定といっても、落ちで使うようなものを最初に持ってきて、そこから二転三転させる巧みな展開に奇抜さが目立った小説でした。
短編小説が12編収録。
中でも面白かった「ぶっそうなやつら」「沈黙と叫び」「さあ、気ちがいになりなさい」は、現実世界をベースにした物語。
しかし、狂気じみた人物が出てくるのですが、いないわけではないだろうと思えてしまう文章に引き込まれました。
「ぶっそうなやつら」では、病院から殺人犯が脱走したという町の駅の待合室でのお話。
数人による視点で語られ、変装した殺人犯がいるのではないかと想像し合い、最終的には自分が普通で他が狂気じみている展開に目が離せなくなりました。
「沈黙と叫び」は、ある田舎駅のホームでの長い待ち時間の会話劇。
ベンチに座る喋らない男が危険な人物だと、駅長が旅人に話をして、想像が膨れ上がっていきます。
危険人物とされる男は、耳が聞こえないのですが、そこに音は存在するのかと言う議論が展開され、論理を巡らせながら、男の危険度が高められていく流れと文章には驚きました。
オチと思わせる設定が、冒頭に現れ、そこから物語が転がっていきます。
では、一つ一つの作品の終わりは、衝撃なオチというより、程よい余韻や想像を膨らませる終わり方をしている作品が多いです。
「さあ、気ちがいになりなさい」は、収録されている作品の中でも一番長い短編小説です。
ネタバレになるのかは、わかりませんが、冒頭の設定が、終わりでもその設定ですというような終わり方。
ある意味、何も変わっていないのです。
しかし、その間の展開こそタイトルにある「気ちがい」を説明しているかのような展開した。
とある記者が、精神病院に患者を装って潜入調査をする流れではあるのですが、本当の患者になっているのか、調査なのか、不思議な世界に引き込まれていきました。
読み終えて、やっとその奇抜さの意味がわかりました。
オチが奇抜な作品はたくさんあれど、よくあるオチのネタを題材として使い、そこから物語を二転三転させていく巧みな文章が、極上の奇想なのでした。
短編小説は、オチに期待も高まりますが、本作短編集「さあ、気ちがいになりなさい」においては、オチに期待すると裏切られます。
しかし、作品全体を通して、他にはない現実を斜めに見て語られる世界観に驚かされた短編小説集でした。
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