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小説「移動都市」シリーズ4部作の3作目である「氷上都市の秘宝」を読みました。
1作目「移動都市」は実写映画化され、壮大なスケールと圧巻の映像で表現されていました。
映画化されるという映像を見て引き込まれ、原作小説「移動都市」を読んだのがきっかけで読み続けています。
3作目は、2作目から時間がいっきに飛んで16年後の物語。
主人公に娘が生まれていて、本作はその娘が主人公となり、自分の住んでいた移動都市を出て、様々な出来事に巻き込まれていく物語。
トムとへスターはかつての氷上都市アンカレジで平穏に暮らしていた。ところがそんな日常に物足りなさを感じていたふたりの娘レンが、盗賊にだまされたうえに誘拐されてしまう。愛娘を救わんと必死で後を追うトムとへスターがたどり着いたのは、水上都市ブライトンだった。採集戦争後の遥かな未来、移動都市が互いに食い合う奇怪な世界を描いた、星雲賞受賞作「移動都市」第三弾。
レンが住んでいた都市を出て、なんとか生き延びようとする力や、それをねじ伏せようとする大人との対立があったり、浮き沈みの激しい物語。
また、いろんな都市の状況が描かれるので、移動都市世界の状況も見れて面白い。
前作から16年後たったところから始まる。
読み始めた当初は、時間が飛びすぎではないかと思えました。16年もたったところを描くのは、後日談的な物語ではなのかと思えたからです。
しかし、レンが氷上都市アンカレジのある物を盗み出して、住んでいた都市を出ていく展開は、新しい移動都市物語のスタートだった。
また、盗み出したある物を巡って、様々な人たちの思惑が見え、絡み合っていくので、どんどん物語に引き込まれました。
成長した人物もいれば、その分、年をとってしまってもいます。
昔のまま変わらない者と成長した者との対立もあったりして、シリーズが進んでこそ描かれる展開も面白かったです。
本作のメインとなる舞台は、水上都市。
他の移動都市のように、都市を食うような争いはない。表向きはとても落ち着いて、華やかな日々を送っている都市。
とはいえ、低層部には囚われている人がいたり、奴隷ビジネスを行っている輩もいる。
そして、奇しくも、この水上都市にはペニーロイヤルが住んでいた。二巻の終盤で衝撃なことをしでかした登場人物です。
そこに盗んだある物を持ったレンが到着し、水上都市の実態が見えたり、そのある物を巡って争いが起こる。
前作から16年後から始まる展開には、戸惑いもありましたが、読み終えて移動都市の持つ大きなスケールの世界観を堪能できました。
状況ごとの選択が、キャラクターの成長を感じさせ、シリーズとしての面白さもありました。
4部作最終巻がどうなるのか、楽しみです。
小説1作目「移動都市」の感想記事↓
小説2作目「掠奪都市の黄金」の感想記事↓
小説3作目「氷上都市の秘宝」の感想記事↓
小説4作目「廃墟都市の復活 上・下」の感想記事↓
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