ギヴァー4部作の3作目である「メッセンジャー」。
書店で、この「メッセンジャー」の表紙の緑色を見て、内容を確認せず読みたいと思って、読み始めたシリーズ。
ついに、読みたかった3作目を読み終えることができました。
小説を読んで、人の役目、生まれてきた意味への大きな学びと気づきを与えられたような衝撃を受けました。
まさに、この本を読むために、出会えた意味が、わかったように感じられました。
目次
2作目から6年後、2作目に出てきた少年が別の村に、移り住んでからの物語
2作目から地続きで、変わりばえのない話かと思いました。
しかし、読めば読むほど、表紙の緑の森が濃くなっていくように、物語の深みに沈んでいきました。
魔法の指をもつ少女・キラとの別れから6年。
マティは,相互扶助の平和な〈村〉で幸せに暮らしていた。
しかし,あるとき〈村〉が不気味に変わりはじめ,
マティの運命は予想だにしない方向へと急旋回していく。
第1作と第2作の登場人物が出会い,
「力」が覚醒する…そのとき,世界は――?
壮大な四部作の「転」をなす雄編!
書籍の帯紹介より
人や自然の変化を描く
近未来の科学が廃れて、小さなコミュニティーを形成して生きる人類。
本作は、自然豊かに、森深くで暮らす村が舞台。
ここは、他のコミュティーから命をかけて抜け出してきた人々が、差別を受けることなく住める村でした。
とても自然に近く、森からの警告を日々、感知しながら、安全に生活をしています。
また、人々の変化と同時に、周囲の森も変化して行く過程が描かれていきます。
それら二つの変化は、とてもゆっくりではあるのですが、不気味に感じられます。
時として、同じ状態のないことを伝えられているようにも思えました。
その変化に自らが気づき、どう対応して行くのかが重要だと、メッセージを発しているように感じとりました。
刻々と変わっていく森の小さな変化の描写が、頭の中で鮮明に映像を作り出すのも印象的な小説です。
歩みながら、個々が持つ力に気づく
シリーズを通して、個々人には力や使命があると言われて、それらを与えられたり、自分で気づいていきます。
本作の主人公は、たびたび早くその使命を与えられることを望んでいました。
しかし、なかなかその時が訪れません。願っても上手くその機会がやってきません。
待っているのではなく、自らが進んで、日々の生活の中や苦難の中で気づくというのが、本作のテーマのようにも思えました。
また、自分の力に気づいていた主人公ですが、どのタイミングで使うかにもしばしば悩んでいました。
そう簡単に使えるものでもなく、時と場を選ぶ必要がありました。
我慢に我慢を重ね、しかし、最後の最後になって、その力の使いどころやその使命に気づきます。
それがとても晴れやかな姿として描かれ、私は、思わず心を震わせました。
小説を読む中でそういう体験は、出会えるものではありませんでした。
それが、読みたいと思った本で、体験ができたのは、なんとも不思議です。
この本に出会えてよかったです。
まとめ
本作だけでなく、シリーズ通して、これらが児童文学であることに驚きです。
子供から大人まで読まれるほど、深い作品であると感じました。
次の4作目で、ギヴァー4部作は完結します。
次巻は、どんな物語、結末が描かれるのかとても楽しみです。
ロイス・ローリー/島津やよい 新評論 2014年09月18日
ギヴァー4部作の書評記事
1作目「ギヴァー」はこちら↓
2作目「ギャザリング・ブルー」はこちら↓
4作目「ある子ども」はこちら↓