小説「火花」by 又吉直樹 の一節が、頭の中のイメージを言葉にしてくれて、すっと心が軽くなった。

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小説「火花」著:又吉直樹 の表紙
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又吉直樹さんの小説「火花」を読みました。

私の頭の中のことをはっきり言葉にしている箇所がありました。

しかも素敵な文章とともに、救われるような語りまで書かれていて、共感できて嬉しかった。

神谷さんの淀みなく流れるような喋りを聞いていると、自分が早く話せないことに苛立つ時があった。

頭の中には膨大なイメージが渦巻いているのに、それを取り出そうとすると言葉は液体のように崩れ落ちて捉まえることが出来ない。

複数人の会話になるとさらに症状は顕著だった。人の数が増えると言葉の数も増える。一つ言葉が耳に入ると、そこから派生した別個の流れが生まれ、頭の中でいくつものイメージが交錯して、どこから手をつければいいのかわからなくなるのだ。

「火花」 26ページより

一対一で話してても、早口でたくさんのことを話されると、そう言う状況に陥る。なので、黙ってしまうことが多い。

そう言う時は、必死に考えています。

反対に、自分が話をしていても、途中で何を話しているのかわからなくなる時もあります。

あてどなく、いろんなことを話せる人が羨ましいです。

しかし、作中でそんな主人公にかけて言葉で救われました。

神谷さんは、そんな僕を面白がってくれた。

「早いテンポで話したほうが情報を沢山伝えることが出来んねん。多く打席に立てたほうがいいに決まってるやん。

でも、お前はそれが出来へんねやろ? そんなお前やからこそ、人と違う表現が出来るやんけ。

「火花」 26ページより

小説、架空のお話であり、無論又吉さんが言われた体験が含まれているのかはわかりませんが、グッと心に響くと同時に気持ちがスッと軽くなりました。

私には、どこかで人と同じにならなければならない、と思っている節があります。

それなりには努力してきたとは思いますが、そう思ったような人になることはできていません。

ならば、自分らしく自分なりの自然体を、と目指すようになっても、まだどこかで人と同じようにと思っています。

でも、この小説の一文を読んで、ふと嬉しくなりました。まるで、自分に言ってくれている、応援されているようでした。

ただ、これは小説で現実とは違う。

しかし、私の心はときめいたのです。

すごい体験をした気がしました。

小説を読んで、こう言った体験は今までにありませんでした。

私も小説を書いています。
このような体験が自分の作品を通して簡単にできるとは思ってはいませんが、私が小説を書く芯の一つになったことは間違いありません。

自分が、自分らしく、生きていい。

そう思わせてくれた一冊でした。

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