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アメリカのホラー小説家スティーヴン・キングが、書くことについて書いた書籍。
自伝的に人生を振り返った話を進めながら、「小説を書く」ことについて丁寧に解説してくれていました。
一般的な文章術や小説の書き方の実用書的な本ではありません。
小説を具体的に書く作法というよりは、書く環境、読まれることを意識することや、文法、推敲、本を読むことなどが語られています。
一見すると、小説を読んでいるかのようですが、しっかり書くことについて書かれた本でした。
しかし、最後まで読んでいくうちに、書くことについて勇気をもらいます。
「小説を書く」ことに重点が置かれてはいますが、「文章を書く」ことと置き換えても十分勉強できる内容でした。
文庫本で、それなりに厚みのある内容ですが、語り口がやわからく、すぐにスティーヴン・キングの世界に引き込まれていきました。
「書くこと」について、知りたい方には一度読んでもらいたい本です。
本書には目次がなく、全体の構成がわかりにくいです。訳者あとがきに、目次として項目は書かれています。
冒頭に、前書きがあり、すぐ履歴書という章が始まります。自分の人生を小説のように語り始める内容になっています。
最初に読み始めた時に、こんなこと意味があるのかと思いながら読んでいました。
淡々と人生を追っていきます。でも、それは、スティーヴン・キングも人の子で、普通の人だといことが伝わってきました。
特別な才能があったわけではなく、子供の頃からずっと「書いていた」というのがわかりました。
作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。
書くことについて 192ページより
有名な一節を直に本を読んで目の当たりにしたことで、この言葉の重さを感じました。
本書全体を通して、読むことと書くことは切り離せないことがひしひし伝わってきます。
読むだけで、書かなければ、書けません。書きながら、いろんな文章を読むことで、書くことに活かせる学びがあります。
わかっていることではありますが、直接、言われているように感じられました。履歴書の章でも、常に読んでは書いてを繰り返しているので、この言葉に重みが出ます。
いいものを書くためには、不安と気どりを捨てなければならない。気どりというのは、他人の目に自分の文章がどう映っているかを気にすることから始まる、それ自体が臆病者のふるまいである。もうひとつ、いいものを書くためには、これからとりかかろうとしている仕事にもっとも適した道具を選ぶことだ。
書くことについて 171ページより
文章を書いてもこれで伝わるのか不安を感じることは往々にしてあります。でも、それって伝わってしまうんだなと感じることも多々あります。
その不安を捨てるには、スティーヴン・キングは適した道具箱を持つことを伝えています。
道具箱は、語彙や文法、文章作法などをあげています。そして、その道具箱を持つしっかりとした筋肉をつけることも大事である、とも言っています。
筋トレのように文章を書く筋肉をつける必要があるのです。
また、持ちうる語彙も数が多ければいいに越したことはありません。けれど、スティーヴン・キングは、数ではなく、どう使うかだと伝えています。
文章を書くときに避けなければならないのは、語彙の乏しさを恥じて、いたずらに言葉を飾ろうとすることである。
書くことについて 156ページ
不安を隠すために言葉を飾ろうとすれば、やはりそれは読んでもらう人にそれは伝わってしまうのです。
本書では、数え切れないくらい小説に関することや文章を書くことについて、学んぶことができました。
他にも、以下のことがとてもためになりました。
いくつもの作品を書き上げてきたスティーヴン・キングから書くことについて教わることは、とても勇気を得ることができました。
直感を大事にしていることやプロットよりストーリーを重視して、想定したこと以上のことを書けるということも、訴えています。
本書は、文章術の本というよりは、書くことについて必要な心構えや勇気を教えてもらえます。
最後の最後に、スティーヴン・キングからエールももらえます。
あなたは、書けるし、書くべきである。
書くことについて 358ページ
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