この本を買った理由は、文章、とりわけ小説としての文章が書けず、そんな時に知って読み始めた本です。
帯には、
読ませる文章には、理由がある。
一度は読んでおきたい70本の名篇を精選。
1作品2〜5ページくらいで読めます。少し字が小さいですけど。
国語の授業かと思わせるように、1篇ごとに質問があり、巻末にしっかりその解説がついています。
高校生でなくとも読んでよかったなと思えました。その解説が、国語の授業より納得できる解説です。
それでいて、文章を書く、ということを考えさせてくれるこの高校生のための文章読本をご紹介します。
目次
1冊で、様々な文体、文章に触れることができる
この本の良いところは、短編小説がまるまる入っているものもあれば、エッセイの一部であったり、紀行文だったりと、様々な文章を1冊で味わえるところです。
知っている作家さんは10人ほどしかおらず、いかに自分が様々な本を読んでいないのか痛感しました。
しかし、それを取り返せてしまうほど、一つ一つは濃厚な文章となっており、作品を堪能することができます。
精選と謳っているだけあって、読むだけでも楽しめる1冊です。
文章を理解し、自分で書いてみたくさせる
この本の良いところは、表現の扉と題して、国語の授業のような問いかけとその解説があることです。
決して、授業のような正解・不正解を見出すのではなく、その文章における本質をついてくれています。
どうして、その表現がされているのか。それを考えることで、文章としての力強さ、意味合いについても深く理解することができました。
作品を読んでいくうちに、自分もこんな文章を書きたいと思い始めていました。
良い文章とは
- 自分にしか書けないことを、
- だれが読んでもわかるように書く
この本の良いところは、解説とは別に、手帖と題して、文章を書く基本的な方法や、文章に対する考え方が書かれていることです。
この本での、良い文章についての定義は上にあげた通り。
これを読んだ時、あぁ、そうか、とハッとさせられました。
今までは、あの人のようなことを、あの人のように書きたいという意識が強くありました。
もちろん、真似たりすることも必要なことではあると思うのですが、最終的には
言葉を用いて他人に自分の意思を伝達する
という基盤が抜けていたなと感じました。
読ませる文章には、理由があった

それは、自分の言葉で書かれていること。
内容の面白さも必要な要素ではあるのですが、精選された作品の中にもそれほど物語があるわけでもないのに、のめり込んでしまう文章がありました。
夏目漱石の原稿用紙6枚ほどの短い作品には、グッと引き込まれました。ちょっとした日常が書かれているのに、手に取るようにその情景や気持ちを感じながら読んでいました。
いかに自分のフィルターを通して、書き出せるのか、それが大事なんだなと思いました。
高校生のための文章読本は、これから読む文章、これから書く文章に対して見方を変えてくれた本となりました。
梅田卓夫/清水良典 筑摩書房 2015年01月07日
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