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小説「裏世界ピクニック」は、大学生の女の子2人が、ここではない怪奇にあふれた謎の裏世界を探検するSFホラー小説。
作品のモチーフは、ネットロアと呼ばれる実話怪談。
現実や裏世界を行き来したり、現実にも怪奇現象が現れるお話になっています。
本巻では、いつになく裏世界に行かない巻。
それでも面白い要素がつまっている。そして、ついに因縁の冴月も現れる7巻目を紹介します。
3話構成の本作。
1話完結というわけではなく、続きモノの構成である。
「ファイル23 月の葬送」に向けて、話が進んでいく。
「月の葬送」のサブタイトルからして、閏間冴月を匂わす。
裏世界の当初の目的である閏間冴月を主人公2人は、ついに閏間冴月と相対することになる。
6巻から続く空魚が大学で受けているゼミの風景が描かれる。
6巻では、ゼミの始まりとして、研究したい内容を探るところだった。
空魚は当然怪談について。怪談というものをさらに噛み砕いて、どう研究していくのかを提案する。
そもそも文化人類学という分野がどういうものなのか、とても興味深かったところでもありました。
1つのテーマをどういう視点で、切り口で触れていくのか。
単にテーマを研究するだけではない。
空魚が、文化人類学の切り口から怪談とどう向き合っていくのか。
怪談好きというだけでなく、空魚がどう怪談を自分からとらえていくのか、気持ちの変化もあった。
今までにない空魚の心境の変化がうかがえてとてもおもしろかった。
今後のゼミの経過報告もあることを期待する。
本巻の見どころは、やはり冴月との対峙。もちろん裏世界で。
ついに本作の主題とも言える人物?との決着がどうなるのか。
ここにいたるまで、空魚と鳥子の関係性が深まり、距離が狭まったことで、冴月に対する心境変化が出ていた。
とくに鳥子が冴月と空魚に対する考え方が、よりはっきりした形になったのもおもしろかった。
冴月との因縁は、ひとまずここでいったん終わる形のようにとらえられた。
でも、なにか腑に落ちない感じもしないわけではない。
裏世界ならまだなにかありそうな感じもしている。
裏世界ピクニック7巻は、文化人類学の視点からの空魚の変化や冴月との対峙があって、とても濃い内容だった。
因縁であった冴月に向かっていく話でもあって、とても楽しめた。
ただ、物語の流れ上、仕方ないのかもしれないが、裏世界を進んで欲しいのと怖い話に触れたいのも正直な気持ち。
もちろん、これは期待をこめて、続きを待つ。
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