小説「裏世界ピクニック」は、大学生の女の子2人が、ここではない怪奇にあふれた謎の裏世界を探検するSFホラー小説。
作品のモチーフは、ネットロアと呼ばれる実話怪談。現実や裏世界を行き来したり、現実にも怪奇現象が現れるお話になっています。
本巻では、主人公である空魚を皮切りに、裏世界から排除する敵となる人物とぶつかっていく。
明確な敵と戦う長編映画のように楽しめました。
それもあってか、物語を通して空魚と鳥子のバディーの絆が、また深くなった6巻目をご紹介。
目次
小説「裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT」概要と感想
6作目にして、初の1話構成。
長編小説として1本の物語です。
映画を見ている感覚で、出だしから結末まで楽しめました。
ファイル20 Tは寺生まれのT
1学年上がって、まったりした学園生活からスタートするかと思いきや、冒頭から違和感のある始まり。
そして、空魚たちを裏世界から拒絶させる者が、現実に現れる。
裏世界ピクニック独特の怖さというより、空魚たちが敵に攻められてピンチになることがしばしば繰り広げられてハラハラ。
「裏世界に試されている」という表現もわかりやすく、裏世界に関わったことで現実で悪戦苦闘する。
主人公である空魚がピンチになって、それを助けるのがバディーである鳥子。
鳥子の真っ直ぐな行動が空魚を救う。
空魚は救われたことで、鳥子の気持ちを素直に受け取れるようにもなってきた。
1人フィルターを通して鳥子の感情を探っていたところから、敵と戦っていく中で鳥子との距離感もさらに深まっていく。
5巻からのつながりにも進展あり
今までは短編連作で途切れ途切れの物語も、長編構成を使って広がった物語も進展させている。
裏世界の探索は、今回はほとんど見られないが、さらに探索範囲を広げるための準備がなされる。
また、5巻で登場した少女の存在も、今後の物語に関わるからみもあって、この先も楽しみにさせる要素が盛り込まれていた。
空魚を助けるのは、鳥子だけではない。小桜もいい活躍をしてくれて、かっこいい一面が見れた。
最後に、本の表紙にもいる登場人物である茜理。
なぜ、表紙にいるのか、本編を読んでいてなかなか存在理由がわからなかった。
読み終えて、なぜ表紙でそんな立ち姿をしているのか理解できた。
まとめ
裏世界ピクニック6巻は、初の長編構成で、じっくり深く長く楽しめました。
裏世界ピクニックでは珍しく、明確な敵の存在もあり、ピンチを乗り越える空魚と鳥子の関係にも目を見張るものがあった。
表紙の意図も読み終えて腑に落ち、まるまる裏世界ピクニックが楽しめました。
著:宮澤 伊織
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7巻の感想記事は、こちら↓
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